馬頭観音

 浄光寺の車門、入って正面には動物たちの霊が祀られる犬猫供養碑があります。その中央、沢山の腕を持ち、それぞれに道具を持っている石造りの仏様が馬頭観音様です。
 「観音」と呼ばれるものの、しかしこのお姿は普段お寺で見るような優しげなお顔とはだいぶ異なっていますよね、一体どうしてでしょうか。
 実は観音様は、救う相手に応じて様々な姿を持っていると言われています。馬頭観音様は動物たちの住む世界、畜生道を救う仏様なんです。ですから犬猫供養碑に祀られているんですね。

 それにしてもこのお顔、どうしてこんな怒ったような表情をされているんでしょうか。これにはちゃんと理由があります。
 仏教には六道と呼ばれる六つの世界がありまして、畜生道はその内の一つになります。六つの世界には序列が有り、良いところから天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄の順となっていて、畜生道は上から四番目の世界なんです。
 ここに生まれ変わる人は、あまり良い行いをしてきた人ではありません。それに動物を飼ったことのある方は分かると思いますが、動物は基本的に自分勝手で本能のままに行動しますよね。テレビには、人間よりも賢いんじゃないかと思えるような動物も出てきますが、これは厳しい訓練を受けた成果です。ですから動物たちは、すぐには良い世界へ生まれ変わることができないのです。
 馬頭観音様は気ままな動物たちに、「お前達もっとしっかりせぇよ。次はもっと良いところに行けよ。」と発破をかけているんですね。怒ったお顔は、お気楽な動物たちを助けるためのお顔なんです。